たぬきの家のリビングって少し変わっているね。
そうなんだよ、実はダウンライトがない。
ファっ?そんなんで部屋明るくなるんかい?
間接照明だけで明るいんだよ。
この家は影でできている。
(何言ってんだ。。。?)
設計士さんに無茶なお願いをしました。
”影”を有効活用したお家にできませんか。。。?
理由としては、そこまで広くないリビングをコスパよく、
視覚的に広く見せる手段として”陰影”が活用できると思ったからです。
ただ実際に建った家に住んでみると、広さの改善だけではない設計士さんの
影の工夫がたくさんあることに気づきました。
そこで今回は陰影の活用方法やメリットを3つご紹介します。
合わせて、照明計画のポイントも記事の後半に紹介しますので最後まで是非ご覧ください。
陰影の活用方法とメリット
インテリアになる
まずはこちらを御覧ください
スポットライトで下から観葉植物(エバーフレッシュ)を照らしたものです。
壁や障子にキレイに影が映っていますよね。照明一つ加えるだけで、見慣れた観葉植物を違った視点で楽しむことができます!
観葉植物の選び方としては、樹形や葉っぱの形がキレイで、上からみたときに
重なっていないものがおすすめです。
我が家は玄関横の壁は家の顔になると思い、窓を極力なくしました。
シマトネリコを壁方向に向けてライトアップさせることで、壁に樹形の影が
映るようにしています。
木の成長とともに影の変化が楽しめます。
気持ちが落ち着く、リラックスできる
谷崎潤一郎の随筆『陰翳礼讃』には下記の一節があります。
日本人とて暗い部屋よりは明るい部屋を便利としたに違いないが、是非なくあゝなったのでもあろう。が、美と云うものは常に生活の実際から発達するもので、暗い部屋に住むことを餘儀なくされたわれわれの先祖は、いつしか陰翳のうちに美を発見し、やがては美の目的に添うように陰翳を利用するに至った。
谷崎潤一郎 著:陰翳礼讃
早朝や夕方、暗がりの中で陽の光がやんわり窓から差し込むときの何とも言えない居心地の良さは、
できるだけ明るい部屋を求める西洋の考え方とは真逆の、日本人ならではの感覚だと感じます。
朝に障子を撮影するとまた違った良さがあります。
朝6時に撮影した写真です。
南側にアオダモを植えているのですが、陽が登ると障子に影が映ってくれました。
部屋の程よい暗さも相まって、早起きして良かったと思う時間でした。
空間的な奥行きが出る(感じがする)
どちらの写真が部屋に奥行きがあるような感じがしますか?
1枚目はライン状の照明で部屋全体で明るく照らしています。
2枚目は間接照明で部分的に壁部分を照らしていますね。
上の2枚の写真は同じ部屋を照明だけ変えてスクショしたものです。
完全な感覚なのでそれぞれ異なる見え方かもしれませんが、
私は2枚目のほうが奥行きがあるように見えます。
1枚目は照明で部屋全体を照らしているので、全体的に少しのっぺりとした印象を受けます。
2枚目は照らす場所を抑えている分、部屋の輪郭がくっきりしてメリハリがついている印象でした。
こうした空間的な見え方の違いが出るのも、影のおかげだと感じます。
我が家も船底天井を間接照明で照らすと、反射光や影の効果でそれぞれの面の色が異なります。
同じクロス、同じ色なのにこれだけ違うのは驚きました。
奥行き感や部屋をより広く見せる効果につながっていると良いなと思います。
次に、陰影作りの基礎となる照明計画について、失敗しないためのポイントをご紹介します。
照明計画のポイント
設置環境によって明るさが変わる
照明を選ぶとき、つい見栄え重視で選んでしまいます。(私もダイニングはそうでした)
当然見栄えも大事ですが、照明選びには色々な要素があることを
知っておいていただければと思います。
例えば
・照明の明るさ
・色味のちがい(昼白色、電球色など)
・照らし方(直接照明、間接照明)
などなど・・・
また、照明選びの際に影響する他の要素として、
・陽の光の入り方(軒の深さも影響)
・壁や床の色(光の反射率が色味によって異なる)
など。これだけあると考慮するのも大変ですね。
設置場所や季節・時間帯によって部屋の明るさは刻々と変化します。
不安なところは設計士さんにシミュレーションして出してもらいましょう。
また、自分で照明を勉強したい、明るさを確認したい!という方は
上の写真でも利用しましたが、照明メーカーの「コイズミ照明」さんのWebサイトが
シミュレーターを無料で使えるようになっています。ぜひご活用ください。
コイズミ照明シュミレーター
https://www.koizumi-lt.co.jp/product/jyutaku/lightingsimulation/#
調光できるタイプを選ぶ
リビングの間接照明は明るさのみ調光できるタイプなのですが、
本当に調光できるタイプにして良かったと思っています。
時間帯によって明るさを使い分けています。例えば下記の通りです。
・朝起きてすぐ(一番暗い設定)
→あまり目が覚めていないのに明るい状態だと子供が嫌がる
・昼間(つけない)
→障子を全部あけて日射取得する
・夕方~夜(一番明るい設定)
・寝る前(一番暗い設定)
心なしか寝付きがよくなった気がします。。。
照明が暗くなるので、脳がおやすみモードに切り替わるからかもしれません。
前述のとおり、必要な明るさは人によって、タイミングによって変化します。
変化に対応できるよう、調光できるタイプをおすすめします!
光源が直接見えない(間接照明)のものを選ぶ
我が家のリビングはダウンライト含め、直接照明を天井につけていません。
ダイニングテーブルにペンダントライトをつけていますが、ほとんど利用していません。
何で採光しているかというと、全てリビングの間接照明で照らしています。
家が建つ前はこれで本当に部屋全体が明るくなるのか不安でしたが、
クロスの色や天井の角度を考慮し、光の反射を利用した設計になっているおかげで
部屋全体がやんわり明るくなるそうです。
見学される方は、このリビングの明るさに一番驚かれることが多いです!
日頃、仕事でパソコンやスマホを見て目が疲れている中で、
直接照明がないリビングはとても目が優しくリラックスできます。
直接照明もメリットはあります。明るさや、インテリアになる等ですね。
・明るさが必要な子供部屋→直接照明
・明るさが必要でない寝室→間接照明
のように、使い分けすると良いと思います!
以上が照明計画のポイント3選でした。
陰影を活用することで、暮らしにゆとりと楽しさが出てきます。
家づくりのご参考にしていただければと思います。
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